日本は技術の国と言われるけど
こちらの記事にもあるように、今の現状はそういう形にはなっていないと考えています。むしろ、日本において技術は他国に比べて遅れを取りつつあると考えています。
なぜ遅れを取り始めたかというと、3つの原因があると考えています。
技術を区別し始めた技術者
技術というのは、どの分野であっても、とても大事なもので、時代遅れとなりつつある技術分野において、新発見をしたことにより、最先端になるという場合もあります。
そういった中では、自分の範囲だけでなく、周辺範囲や関係のない分野の技術も習得していくことが重要になります。しかし、昨今の技術者の風潮として、特定の技術に特化させる動きが多いなという感想を抱いています。
特化させること自体は、プロフェショナリティの観点から特に悪いことではありませんが、それは油田の近くに鉱山があるのに気づいていないようなもので、技術者が採掘関連の総合企業から石油会社になるようなものです。もちろん、2つを開発するよりも1つを開発する方が圧倒的にコスト(時間・費用)面で有利ではありますが、原油価格の変動の面からも想像付くように、技術トレンドの変化に対応できなくなってしまいます。
技術で言えば、ハード面の知識を過去の技術としてブラックボックスとしてしまい、それに伴う仕組みの部分を知る努力をしない。あとは、技術に対して優劣をつけて、古い技術は海外へ、といった思想が強くなってきたという印象を持つことが多くなりました。
技術を知らない企画者
厳密にいえば、知ろうとしない、ということになりますが、分かりやすく言えば、妄想アイデアマンみたいなもので、思い付きでしかないアイデアの実現可能性から技術者に丸投げするような形の企画者という意味合いです。企画者と言っているのは、この役割をしている人は経営だったり、営業だったりすることもあるためです。
技術による実現ということを考慮する場合、時期だったり、制約だったりの諸条件を考慮する必要がありますが、思い付きのアイデアでは、そのあたりの背景が伝わり切らないことがあります。結果、後からそういった諸条件が加わり、結果的に難しい、となることは、さして珍しいことではありません。
また、技術を知ろうとしない企画者にありがちなのが、技術そのものを軽視する傾向が強いということがあります。結果として、技術者への報酬が不十分となり、海外に技術者と共に技術が流れてしまう結果となりました。
100点満点を求める消費者
日本の消費者はかなり厳しいというのは有名な話ですが、供給側もそれに対応するために高品質な製品を提供するようになっています。もっとも、このことが日本製品の信頼性を結果として高めているのですが、あらゆる面において100点満点を求めることは、結果として新しい技術の導入をためらわせる結果となります。
海外の例で言えば、フェイスブックなどは、割とバグが多く、アップデートのたびに色々と問題を出したりしています。おそらく、同じ物を日本で作って最初に公開したとしたら、そういった不具合により叩かれて、あっさりと消え去ってしまう可能性が高くなります。ただし、日本は権威主義でもあるので、世界で広まっている、と言われれば、100点満点で無くても使うようになります。
そのため、新しいものはまずアメリカなどで広めてから、世界のお墨付きをもって日本に入ってくるという形になります。そうなると、結果として日本に入ってくる技術は作られてから数年経ってからということも珍しくありません。
結果として新しい技術に触れることができなくなり、他国に比べてリテラシーが数年分遅れるようになってしまいます。もちろん、その間に進展が無いわけでもなく、別の方向に進展する場合が多々あります。これがガラパゴス化ということの真相ではないかなと。
海外から学ぶ姿勢
最初の記事にもあるように、日本は技術に自信があるということで、他国を悪く言えば見下している傾向があります。ただ、日本の技術を引っ張ってきたのは、他国から技術を学び取った先人達であることを忘れないようにすべきです。